守る会・研究所便り2025年9月号

9月のお送りする有機栽培米は次の生産者です。
有機白米・玄米コシヒカリ (株)アグロエコロジー(栃木県芳賀町)
 次回は10月4日(土)配送予定です。
 御都合の悪い方ご連絡くだされば対応いたします。

令和7年度第2回守る会生産者部会開催される

8月22日、有機農業技術支援センターにて第2回目の守る会生産者部会が開催されました。マスコミで報道されているように、コメの需給をめぐる問題は未だ混沌としており、間もなく新米が市場に出回る時期を迎え、混乱が予想されます。そんな状況下での開催でしたが、その主だった内容は以下のおとりです。


<令和6年~7年の守る会におけるコメの集荷状況>

コメの集荷について、6年産は予定の60%で大変苦しい状況であり、本年7年産も相変わらず苦しい状況が続くことが予想される。業者と播種前契約したが、いざふたを開けると契約量を大幅に下回る結果となってしまい、信用問題になってしまった。その信用を回復するためにも、また生産者の皆さん方にも満足していただけるように、守る会の買取価格は精いっぱい頑張らせてもらった。価格の揺れ動きは経営運営に大きなインパクトがあるわけだが、私たちが有機農業に特化する狙いをもう一度思い返していただきたい。それは、

  1. 一番最初に農薬の被ばくを受けてしまう「生産者の健康を守る」
  2. 私たちの農産物を食べる消費者の健康を守る」、とくに未来を担う「子どもたちの健康を守る」
  3. 私たちに大きな恵みを与えてくれる「自然環境の健康を守る」

という3つの健康を守ることが、農業者の社会的責任だと考えている。創設者の稲葉光國の理念に原点回帰していただきたい。

<生産者部会の組織再編>

日本の稲作を守る会の会員は、守る会へコメを出荷する生産者と、そのコメを購入する消費者の2者で構成されている。消費者はコメの購入を止めるとその資格は喪失する。これに対して、生産者はコメの出荷を止めても会員は喪失しないで、会員としての特典を得ることができる。最近、生産者の一部にそうした動きが散見されるようになり、会の運営に支障をきたすようになってきた。社会経済条件が大きく変わってきたので、守る会の持続化に向けた新たな規則を設ける必要がありだ。11月に予定している株主総会で議論したいと考えている。

<有機米給食について>

守る会が有機米給食推進に関心を寄せているのは、子供たちの健康が平等に確保されること、景気に左右されずに確実に生産されたものが消費されるので、生産者の安定に結びつくからだ。県内動きを見てみると、①小山市:有機給食拡大で生産者の作付面積が増加。その担い手は研究所のポイント研修を受講した若い農業者。市のオーガニック協議会参加の農業者のコメは、全量学校給食で買い取る方向で進めている。②大田原市:本年10月から月1回の学校給食が開始の予定。③栃木市:自校式給食の小学校で始まった。

なお、各地区の学校給食有機米生産者は、当会の生産者が中心になっているので喜ばしことではあるが、反面、当会への集荷量に影響をもたらすことがうれしい心配ごとでもある。

<心温まる嬉しいニュース>

滋賀県野洲市で、大規模に有機稲作経営を展開されている中道唯幸さんから、当会への寄付がありました。中道さんは御父上が、そして中道さんご自身も農薬で身体を壊してしまい、それが有機農業に取り組むきっかけとなったそうです。その技術指導をされたのが稲葉光國さんで、稲葉さんを師として長い付き合いをされた方です。今日があるのは稲葉さんのおかげで、今回の申し入れは有機稲作に自信をもって生きていけるようになったお礼とのこと。当会では中道さんの申し入れを快く受け入れ、会員の皆さん方の農産物買取価格に、少々ではあります還元していきたいと思います。(文責:斎藤 一冶)


ポイント研修が修了する

3月2日からスタートした2025年度のポイント研修が8月24日に終了しました。今年度は最終的に38名の申し込みがあり、県外者が3/4の28名でした。関東エリアを除くと比較的西日本の方が多かったです。また、女性は6名です。1回あたりの出席者数は約30名ですので、高い出席率と云えます。以下、主担当者である川俣文人からのコメントを記載します。

有機稲作ポイント研修に携わって4年目が過ぎ、本年度も多くの参加者とともに学びあうことが出来た1年となりました。この研修会で題材にするのは、タネの準備から耕耘、代かき、水管理など、稲作の基本となる作業ばかりです。最大の特徴は、座学による一方的な講義だけではなく、実習を伴った実践型の研修会であり、つまり「デュアルシステム」であることです。例えば、参加者と一緒にトラクタやコンバインなどの農業機械を動かし、時には稲穂を分解して収量を計算する、といった具合です。

この研修会で私が最も大事にしているのは、参加者が栽培方法を自ら導き出すように仕向けることです。研修会では全国から30名もの農家が参加してくれます。それぞれが異なる気候風土、利水環境、土質で栽培をしておられますので、すべてに対応する唯一の方法を提示することは出来ません。参加者には、まず自分の田んぼの特徴を知ってもらうことから始まります。そして、イネと雑草の観察の仕方を伝えていくのです。

延べ9日間にわたる研修会で多くの時間を割くのは雑草対策です。雑草の生態については普遍性が高く、その発生消長には一律の秩序が見られます。雑草を抑制するための耕耘や代かきについて、原理を理解してもらうことを心掛けました。雑草を低い密度で制御し続けることは持続可能な有機栽培にとって重要なことです。参加者からは、「コナギが抑制できた」とか、「失敗したが〇〇が原因だったと思う、来年は〇〇を試してみたい」・・・など、積極的な姿勢が見られました。ある若い農家からは、「有機稲作に転換してから、田んぼに行くのが楽しみになった」と声をかけていただき、感激したことを覚えています。田んぼを愛する農家が増えれば、日本の稲作は守られると思っています。

最後に、舘野理事長をはじめとして、研究所内外の多くのスタッフのご尽力によって成功裏に
終えることが出来たと自負しています。今後とも田んぼ愛好家をひとりでも増やすよう努めてま
いります。(担当;川俣 文人)