2026.4 日本の稲作を守る会 NPO法人民間稲作研究所便り
4月のお送りする有機栽培米は次の生産者です。
有機白米・玄米 阿部忠男さん(栃木県日光市)
次回は5月2日(土)配送予定です。
御都合の悪い方ご連絡くだされば対応いたします。
「有機農業の大義」-2026年度第1回守る会生産者部会より-
3月13日(金)、有機農業技術支援センターにおいて、20名の出席者のもとに開催されました。挨拶を兼ねて稲葉勇美子代表取締役が「2025年総括と現状」を報告されました。その中で、「農業の現状」と「大切にしたいこと」には含蓄ある言葉がありました。それを紹介してみます。
農業の現状
- 暗い要因として、地球温暖化、人口減少、大規模志向の農政を上げられました。この中で人口減少についてコメをつくる人=生産者も、コメを食べる人=消費者も、双方とも減っているという指摘には、大いに考えさせられました。需要減が進行する中で、如何に供給(生産)するかが問われているからです。
- 上記のような状況の中で、明るい兆しとして、みどりの食料システム戦略、安全な食への志向、学校給食への有機食材利用を述べられました。いわゆる「みどり戦略」をバックにして、学校給食の有機化を突破口にして、安全な食への高まり見受けられるようになりました。
大切なこと
- 有機農業の大義(=人のなすべき大切な正道)として、まず未来を担う子供達への安全な食の提供がありますが、それ以上に諸々の危機(生物絶滅・気候変動・健康等)を救うことを上げました。大きな意義ある仕事に自負を、小さくてもよい提携を大切に、自ら研鑽を積む集団でありたいと、噛みしめるように話をされました。渋沢栄一の「片手にそろばん・片手に論語」を彷彿される内容と言えます。
東京のど真ん中で有機農業を熱く語る-ある消費者グループとの交流-
2月21日(土)、東京の明治神宮外苑の一角にある明治記念館において、一般社団法人Success Aging Club(SAC)からの要請を受け、稲葉・古谷さんが有機農業の取り組みを話されました。守る会の米袋に印字してある「身土不二」に興味を持たれたとのこと。お二人のお話の概要は以下のようです。
(※)SACは「年齢を重ねることを成功に変える」ことを理念とし、健康・学び・暮らし・人とのつながりを軸とした講演会・イベント・コミュニティ活動を通じて、会員の人生に寄り添うことを目的とした一般社団法人です。昨年の暮れに結成されたホヤホヤの団体です。
稲葉:「稲葉光國の有機農業への道」
故稲葉光國氏が有機稲作技術の体系化を確立するまでの話をされた。その背景にあるものは、植物の生理を無視した稲作技術が、稲そのものもさることながら人体にも影響をもたらしていることにある。農業は「命」をつくる産業であり、「身土不二」に代表されるように食と健康と環境は密接に結びつく。作る人の健康を守ること、食べる人の健康を守ること、そして自然・環境すべての生き物の健康を守ることが、光國氏の揺るぎない信条でした。
古谷:
種まき・土つくりから収穫までのイネの一生をわかりやすく説明し、「土つくり」が基本技術で、米ぬかをベースとした発酵堆肥が土の健康に大いに寄与しているとのこと。人間の健康はたべものからと、5つの元気(土・水・タネ・体・地球)を強調されました。
余談:農業の六次化を実践している古谷さんの愛車は、トヨタの高級車レクサスで、これに乗れるのは有機農業のおかげとのこと。農水省が推奨する「儲かる農業」の実践と言えます。
所感
日本農業の不幸な要因の1つとして、生産者と消費者との距離がすごく遠かったところにあると思っています(無論、現在はかなり縮まってきていますが)。それは物理的というより、精神的な距離であって、農地で働く農業者自身と台所で仕事をする消費者とが、顔の見える関係になかったことです。生産者と消費者がwin-winの関係になるよう、今回のような催しがどんどん増えることを期待したいと思います。
ポイント研修が始まる
研究所の大きな業務の1つであるポイント研修が開始されました。回数や内容は以下のようになっており、前年度ほぼ同様で5回延べ9日となっています。
研修日程
- 第1回 3月 1-2日:タネと圃場の準備
- 第2回 3月29-30日:播種~育苗 1回目代かき
- 第3回 5月10-11日:仕上げの代かきと田植え
- 第4回 6月14-15日:分げつ盛期以降のイネ管理
- 第5回 8月23日:収穫直前(一年の総括)
<講師陣;川俣・五十畑・舘野>
30名の受講者の方々
まず道府県別では、①茨城県13人、②埼玉県5人、③新潟県・栃木県各3人、⑤東京都・大分県各2人、⑦北海道・福島県各1人、とそれぞれなっています。お隣の茨城県が約半数を占めていますが、これは市町が推進するみどり戦略に対して、担当者も含めてグループで参加されているからです。男女別では男26名、女4名(うち1名はご夫婦)となっています。
特徴的なこととして、3つの法人経営があり、うち2法人は農業を出自としていないことです。うち1社を紹介しますと、旅行業会社の関連会社で、ツアーコースの景観を含めた維持管理・農業部門を担っており、水稲・野菜などを無農薬でつくっている会社です。つまり他産業からの農業参入で、顧客に対して有機農業を戦略としているようです。この点は、個人で参加されている受講者から、そのような主旨を述べていました。
「食べる」ことも研修の重要な項目
当研究所のポイント研修の特徴は、「座学と実習」といういわゆるデュアルシステムで有機稲作を総合的に学ぶことにあります。が、もう1つの特徴として「昼食」もあげられます。昼食代も含めて受講料をいただいており、外部の方にも協力を得ながら手作りの料理―和食の基本である「一汁一菜」―を提供しています。
ちなみに初日目のメニューを紹介しますと、以下の3品目でした。
- 混ぜご飯=守る会のコメ+菜の花+クチナシで着色した沢庵
- 野菜スープ=化学調味料不使用、4種類の地場野菜+ちくわ・かまぼこ
- ゆで卵の味噌漬け=平飼いの有精卵+守る会の味噌
とりわけ、混ぜご飯はコメの白、菜花の緑、沢庵の黄の3色の彩りが、より美味しくさせてくれました。当日は天気が良かったので、格納庫前の空き地で味わっていただきました。
(文責 齋藤一治)